麻の植栽が砂漠化を止める

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麻は土壌を肥沃にし、生態系の健全性を回復させることができる。麻の栽培はほとんどの場合、農薬を必要とせず、土壌中の微生物の生息を促進する。また、麻の根は土壌を安定させ、他の植物の成長も助け、砂漠化を防止する役割も果たす。 化学肥料や農薬の過剰使用は、土壌の健康を損なう主要な要因。これらの化学物質は土壌中の有益な微生物を殺し、自然な養分循環を破壊する。その結果、土壌は肥沃度を失い、農作物の収量や品質が低下していく。 過剰に化学肥料を使用すると地下水や河川に流れ込み、富栄養化を引き起こす。富栄養化は藻類の異常繁殖を促し、結果として水中の酸素濃度が低下する。この現象は、魚やその他の水生生物にとって致命的であり、水質の劣化を招き、生態系を破壊する。 化学肥料の使用は温室効果ガスの一酸化二窒素(N2O)を大気中に放出する原因。このガスは、二酸化炭素(CO2)に比べて約300倍の温室効果を持ち、地球温暖化の大きな要因となっている。
麻は二酸化炭素を効率的に吸収し固定化できる植物。同じ面積のスギの森林は約6〜7.5トンのCO2を吸収するが、麻は成長期においてスギの森林の2倍以上のCO2を吸収する能力があり、1ヘクタールの麻は約9〜15トンのCO2を吸収する。
「1ヘクタールあたり9〜15トンのCO2を吸収する麻をUNCTAD(国連貿易開発会議)では「もっともCO2を吸収する作物」と呼び、CO2削減にもっとも貢献できる植物として捉えている。地球の総陸地面積144億ヘクタールの66%=95.04億ヘクタールの砂漠化は極めて近い未来だ。しかしその砂漠化を止められる麻を95.04億ヘクタールの砂漠化する土地に植えれば年間855.36億トンから1425.6億トンのCO2吸収できる。
農地拡大・家畜の過放牧・都市拡大やインフラ開発、そして鉱山開発などの持続不可能な土地管理が主な要因とされる砂漠化は農業や牧畜業などの食糧の生産基盤が失われるとともに貧困の加速や難民の増加、ひいては社会混乱や不安定さによる社会全体への悪影響が広がり、さらなる不安や協調性の欠如などから戦争や地域紛争などにも繋がっていく。麻を植え砂漠化を止めることはメリットしかない。グリーントランフォーメーション(GX)のゴールの一つでもあり、カーボンクレジット取引のメインストリームとなるとともにさまざまな雇用と多種多様な産業が生まれ、栽培から製造、使用、廃棄に至るまでの全過程でカーボンニュートラルを実現できる。地域が活性化や循環型社会の創出にも繋がっていく。
大麻は約3〜4ヶ月で繊維、約半年で種の収穫が可能。また、地域により年間に複数回の収穫が可能であり、CO2の吸収と固定化の速度も速いため、より短期間でより多くのCO2を吸収し、気候変動の緩和に貢献できる。バイオリメディエーションの効果も期待できる。石油は2億年の年月が必要だ。
現代の人間の生活は「人間は石油からできている」と言っても過言ではないほど石油に依存している。それは医衣食住すべての分野においてだ。そしてその石油は約2億年前の中生紀・ジュラ紀〜約6千万年前の白亜紀にかけて、プランクトンや藻などの死骸が地熱やバクテリアなどの作用を受けてできたものだとする有機起源説が有力だ。
自然のものとはいえ2億年かけて作られたものをわざわざ深い穴を掘って取り出し、わざわざ環境破壊や健康被害を引き起こす石油まみれの生活を選んで滅びる未来か、わずか数ヶ月で環境や健康を改善でき、地表だけでほぼすべての石油由来製品の代替えが可能で、持続可能な麻に象徴される生活を選ぶかの2択の未来がある。
そもそも石油が麻の代替えに過ぎず、麻が石油へと代替えされた石油社会の歪みと弊害が末期を迎えている現在においては、石油依存社会から脱却し、麻のある暮らしを取り戻す必要がある。
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