教科書の大麻

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江戸時代には藍・紅花とともに〈三草〉と呼ばれ、有用な作物として全国で栽培された大麻はさまざまな価値観が大きく変わった明治維新という大きな変革後の日本においてもその価値感は引き継がれた。例えば明治30年(1897)発行の『小学読本 高等科用 巻ニ』の第1章(第一課)から天照大御神は自分で機(はた)織り、神武天皇は天富命を四国・東国に使わして麻や楮を植えさせたとあり、第2章は「麻と楮」として植物としての麻の説明から育て方、蚊帳などの製品の話が掲載され、大麻は全国にあるが一番は野州(栃木県)であり、布は近江晒と奈良晒が有名だとある。当時の子供達は学校で大麻を習い、現在の私たちが持つ以上の知識を身につけていた。実際の大麻を目にした子供たちも多かっただろう。江戸時代から400年以上続く栃木県鹿沼市では今でも子供たちにとって大きく育った大麻の畑はかくれんぼをして遊ぶ場所であり、大人にとっては大根や人参と変わらない畑の農作物だ。
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