パンデミック後の世界と日本の選択肢

新型コロナウイルスのパンデミックは、世界を極右政権と反グローバリズムの流れへと急速に押し流した。イタリア、フランス、ハンガリー、アメリカ、イギリスといった国々で、極右的政策や反グローバリズムの旗が掲げられ、国民国家の復権が進んでいる。一方で、日本は戦後の伝統保守解体とグローバリズムの影響による長期的な衰退から抜け出せずにいる。

戦後の伝統保守解体とグローバリズムの影響

戦後、日本はGHQの占領政策により、日本独自の精神文化が崩壊の危機にさらされた。教育勅語は軍国主義の象徴とされ廃止され、助け合いや倫理観を教える教育の基盤が失われた。また、神道や伝統儀式の弱体化、メディアと言論の統制も進み、日本のアイデンティティは薄められていった。

経済面では、グローバリズムが日本製造業を疲弊させ、多国籍企業の搾取が強化された。地方経済は衰退し、農業や食料自給率の低下も深刻化している。かつて世界第2位の経済大国であった日本は、今や一人当たりの名目GDPで世界32位、アジアでも5位に落ち込んでいる。

田母神俊雄氏の提唱する日本精神文化の復興

田母神俊雄氏は、戦後失われた日本の伝統や精神文化の復興を訴える指導者である。彼は、現在の日本における「保守」が真の保守ではなく、アメリカによって植え付けられた価値観に基づいていると批判する。

教育勅語が象徴する助け合いと倫理観を取り戻し、日本人が本来持つ文化と精神を再生する必要性を強調している。また、田母神氏は神道や伝統儀式の復興も重要視しており、これらが日本人の精神的な基盤を再構築する鍵であると述べている。

さらに、田母神氏は自主防衛や外交戦略の確立を通じて、日本が自立した国として世界の中で尊敬される存在となることを目指している。そのためには、戦後の価値観を見直し、真の独立国家としての日本を取り戻す必要があるとしている。

及川幸久氏が示す反グローバリズムの道

一方、及川幸久氏は、グローバリズムが引き起こす問題点を鋭く指摘している。新型コロナウイルスのパンデミックは、グローバリズムの限界を浮き彫りにし、経済的主権と自立経済の重要性を再認識させた。

及川氏は、グローバリズムがもたらした「経済効率」の陰に潜むリスクを明確に指摘する。特に、グローバルサプライチェーンへの過度な依存が引き起こす危機、国内産業の空洞化、そして地域経済の衰退を問題視している。彼は、これらの問題を解決するために、国民国家を基盤とした経済構造の見直しが必要であると主張する。

また、及川氏は食料自給率の向上とエネルギー自給の重要性にも触れ、地方分権的な政策を通じて地域経済を活性化させることが不可欠だとしている。これにより、地域ごとの独自性を守りつつ、経済の分散化と多様性を実現できると考えている。

さらに、及川氏は、国際社会との関わりを見直し、過剰な依存関係を断ち切ることを提案する。この中には、国際機関や多国籍企業に対する主権の取り戻しも含まれ、経済的な独立性と文化的自律性を高めることが重要だとしている。

伝統保守と反グローバリズムの融合

田母神俊雄氏の日本伝統保守と及川幸久氏の反グローバリズムの主張は、異なるようでいて実は共通の目標を持っている。それは、日本再生である。この二人のビジョンが融合することで、教育改革、自主防衛と外交戦略、地域経済と文化の復興、そして食料自給率の向上という包括的な政策が可能になる。

教育改革:
教育勅語が教えた助け合いや倫理観を復活させるだけでなく、地域の文化や歴史を尊重した教育カリキュラムを導入することで、次世代の日本人に誇りと責任感を育む。

自主防衛と外交戦略:
外国に依存しない防衛体制を構築し、真の意味での独立国家を目指す。また、多国間協調ではなく、双方向的な利益を基盤とした外交を展開する。

地域経済と文化の復興:
地方自治を強化し、地域の特産品や伝統工芸を活用した経済振興策を実施する。これにより、都市と地方の格差を縮小し、地域ごとの個性を再評価する。

食文化改革と自給率向上:
グローバルな食品供給チェーンへの依存を減らし、地元で生産された安全で新鮮な食品を提供する仕組みを構築する。これにより、健康的な食生活を支えながら、国内農業を活性化させる。

経済的主権の確立:
多国籍企業の支配を抑え、中小企業や地域産業の成長を促進するための政策を強化する。

日本再生への道筋

世界が極右保守と反グローバリズムの潮流に乗る中で、日本も自らのアイデンティティを見直し、伝統と主権を取り戻す必要がある。その鍵を握るのが、田母神俊雄氏と及川幸久氏の思想である。この二人の視点を融合させた新しい政策とビジョンは、経済的自立、文化的復興、そして持続可能な地域社会の構築を通じて、パンデミック後の日本を真の独立国家として再び輝かせる可能性を秘めている。

今こそ、田母神俊雄氏が提唱する日本伝統保守と及川幸久氏が主張する反グローバリズムの融合を通じ、日本再生の道を模索する時ではないだろうか。