国家はなぜ「土壌炭素」を数え始めたのか


近年、各国の農業政策や環境政策で、ある言葉が急に重みを持ち始めた。
それが土壌炭素である。
炭素といえば、排出量、工場、エネルギー、CO₂。
本来は大気の話だった。
だが今、国家は土の中の炭素量を数え始めている。
それはなぜか。
土壌炭素とは、
・有機物
・微生物
・菌糸
・根の残渣
などとして土中に固定された炭素の総量を指す。
これは単なる環境指標ではない。
土壌炭素が多い土は、
・水を保持できる
・栄養を蓄えられる
・病害に強い
・収量が安定する
つまり、国の食料生産能力そのものである。
各国が最初に直面したのは、気候変動ではない。
農業が不安定になったことだ。
・同じ資材を入れても収量が伸びない
・干ばつと洪水が同時に起きる
・災害がなくても作物が育たない
このとき、国家は気づいた。
「問題は空ではなく、足元にある」と。
土壌炭素は、水と切り離せない。
・炭素が増える
→ 団粒構造ができる
→ 水が浸透する
→ 土が貯水する
逆に、
・炭素が減る
→ 土が固まる
→ 水が流出する
→ 干ばつと洪水が加速する
国家が本当に恐れているのは、
水管理が効かなくなることだ。
ダムでも、配管でも、
土が水を保持できなければ意味がない。
CO₂削減は、
・産業
・エネルギー
・生活
に直接制限をかける。
政治的コストが高すぎる。
一方、土壌炭素は違う。
・農業政策として導入できる
・地方振興と両立できる
・表向きは「環境対策」
・実態は「食料安全保障」
国家にとって、
最も現実的な生存戦略だった。
国家が土壌炭素を数える理由は、
環境意識の高まりではない。
・干ばつに耐えられるか
・洪水を吸収できるか
・化学資材が止まっても生産できるか
これらを一つの指標で見られるのが、
土壌炭素だった。
言い換えれば、
土壌炭素=国家の回復力である。
この流れを後押ししたのが、
FAOなどの国際機関だ。
彼らは、こう結論づけた。
・食料問題
・水問題
・気候問題
これらは別々ではなく、
土壌という一点に集約される。
だから、
「まず土を測れ」
という話になった。
ここで再び、
麻(ヘンプ)が浮上する。
麻は、
・土壌炭素を増やす
・短期間で有機物を供給する
・化学資材に依存しない
国家が恐れるほど、
速く、静かに土を変えてしまう。
だからこそ、
多くの国で
「管理可能な範囲」での利用に留められている。
国家が土壌炭素を数え始めた瞬間、
一つの事実が明らかになった。
・文明は、土の残量で決まる
・経済成長より先に、土が尽きる
・回復には、政治周期より長い時間がかかる
これは、無視できない現実だった。
国家が土壌炭素を数え始めたのは、
環境のためではない。
生き残るためである。
土壌炭素は、
気候指標ではない。
文明の余命表である。
そして今、
多くの国家が
その残量を初めて直視し始めた。
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