土をなおす作物、麻(ヘンプ)

― 未来の農業が思い出すべき原点

農業の未来を語るとき、
人はつい「新しい技術」や「効率」を探そうとする。

だが、いま本当に必要なのは、
前に進むことではなく、思い出すことなのかもしれない。

その中心にある作物が、麻(ヘンプ)だ。

麻は「作る作物」ではなく「なおす作物」

多くの作物は、
土から栄養を取り、収穫され、去っていく。

麻はちがう。
麻はまず、土そのものを立て直す

・深く伸びる根
・早い成長
・大量の有機物
・農薬に頼らない性質

これらはすべて、
弱った土を回復させるための条件でもある。

土は、死んだらすぐには戻らない

現代農業で見落とされがちな事実がある。

土は一度壊れると、
肥料を入れても、生き返らない

なぜなら、
土の正体は「物質」ではなく、
菌と微生物の集合体だからだ。

菌が減った土は
・病気が出やすく
・水がよどみ
・作物が弱くなる

この状態で肥料を足すほど、
土はさらに疲れていく。

麻は、菌が主役になれる環境を作る

麻が特別なのは、
菌を殺さず、むしろ呼び寄せる点にある。

・根から出る分泌物が菌のエサになる
・菌根菌と共生しやすい
・土の中に空気と水の通り道を作る

結果として
・菌が増える
・団粒構造ができる
・病原菌だけが残る状態を防ぐ

麻は、
「土を消毒する」のではなく
「土が勝手に整う場」を作る植物
だ。

麻は、虫と敵対しない

多くの農業は、
虫を「排除すべき存在」と考えてきた。

麻はちがう。

・虫が集まりにくい性質
・益虫が住みやすい環境
・農薬が不要

その結果、
虫・菌・植物のバランスが自然に保たれる。

虫を殺さないから、
虫に依存しない強さが生まれる。

世界では「土壌回復作物」として使われている

世界では麻はすでに、

・輪作の要
・休耕地の回復
・汚れた土の再生

に使われている。

それは
「エコだから」ではない。

理にかなっているからだ。

日本こそ、麻を知っていた国だった

忘れてはいけないのは、
日本はもともと麻の国だったということ。

・衣
・縄
・紙
・祭り
・農

麻は、
生活と自然の間をつなぐ存在だった。

それが消えたことで、
土も、農業も、どこかで無理を始めた。

未来の農業に必要なのは「強さ」ではない

これからの農業に必要なのは、
さらに強い薬や、さらに速い成長ではない。

・戻れる力
・回復する力
・折れても立ち直る力

その原点に、麻がある。

まとめ

麻は
・多くを要求しない
・誰かを殺さない
・土を置き去りにしない

だから
土をなおす作物になれた。

未来の農業が思い出すべきなのは、
最新の技術ではなく、
一度、私たちが手放したこの感覚なのかもしれない。