「色即是空、空即是色」。「お前のリアル、紙よりも薄い」。一方は仏教の経典『般若心経』、もう一方はラップバトルで炸裂したパンチライン。文脈も時代も違う。しかし両者には、“一行で世界を震わせる力”がある。ヒップホップのMCたちは「パンチライン」…
21世紀、スニーカーとビートをまとった仏陀たちが、マイク一本で真理を叫んでいる。ストリートの角、クラブの中、YouTubeのアルゴリズムの奥底。彼らは悟った者ではなく、悟ろうとする者──つまり「ライムする者」だ。仏教において、悟りとはプロセ…
「煩悩まみれのこの時代、俺の修行は“スタジオ”と“グリーン”の上にある」。そう語るのは、かつてMCバトルの檀上に立ち、今は法衣とパターを両手に持つ、ある“ヒップホップ僧侶”である。ビートで心を研ぎ、スイングで己を知る。彼にとって仏道とは、寺…
あるMCが言った。「ステージで怒ったら負け。冷静さを失った瞬間、言葉の刃は自分を刺す」。ある僧侶はこう言う。「怒りは風。放っておけば過ぎるが、握れば火になる」。そして、あるゴルファーは悔しさのままにドライバーを振りぬき、ボールは無情にもOB…
午前5時。都市の喧騒がまだ目覚めぬ時間帯。夜明け前の霞がかった空気のなか、一人の男が静かに芝の上に立つ。彼の手にあるのはマイクでも経典でもなく、一本のパター。ヒップホップと仏教とゴルフ──一見、異なる次元に存在するこの三つの世界を、彼は一つ…
「気持ちが真っすぐじゃないと、パターは真っすぐいかない」この言葉は、ゴルファーたちの間で語り継がれる“格言”のようなものだ。パターというクラブは、技術以上に“心の状態”が如実に反映される道具である。そしてこの精神論は、意外なことに、マイク1…
煙の先にある“内なるシャーマニズム” リリックの瞬発力、ステージ上での沈黙の間、異様な“語りの精度”。Red Eyeという存在は、どこか“憑かれている”ように見える。「トラックに入った瞬間、世界が消える」彼はそう語る。その集中力は、単なるス…
国家が“ラッパー”をターゲットにする時代 なぜラッパーばかりが逮捕されるのか?なぜ「大麻」と「表現」は、ここまで不安定な関係にあるのか?2020年代の日本では、大麻の所持や使用で逮捕される著名人の大半がヒップホップアーティストであるという、…
Homie KeiとZeebraが挑む、“音と言葉”による社会変革の最前線 いじめ撲滅を掲げた“リアル”な声 2024年夏、茅ヶ崎市文化会館にて開催された「No Bully Festival」は全国的な注目を集めた。ステージに立ったのは、Z…
『The Chronic』がヒップホップと大麻を結びつけた瞬間 煙の向こうに見えた、新しいヒップホップの風景 1992年、アメリカ・ロサンゼルス。ドラッグと暴力が蔓延し、ロドニー・キング事件による暴動の爪痕が残るこの都市で、1枚のアルバムが…
ヒップホップに〈カンナビス文化〉を植えた革命者たち ラップで「ウィードを吸う」と言うことが当たり前になる前に、それを本気で、繰り返し、文化として叫んだグループが存在した。Cypress Hill(サイプレス・ヒル)。1991年のデビュー以来…
日本の表現規制とHIPHOPの自由の狭間で 「これが俺のリアルだ」と語った男がいた。彼のリリックは、規制され、報道され、黙殺され、そして、いまなお響き続けている。漢 a.k.a. GAMI。ラッパーであり、活動家であり、自己表現の極北に立っ…
縄文・タオ・大麻、三つの古層がいま共鳴する 煙はただの嗜好品ではない。それは、太古から続く“哲学”の入口だった。 かつて、人々は「道(タオ)」を生きていた。川の流れに逆らわず、風に抗わず、ただ“調和”の中に身を置くことこそ、最高の知性だった…
マイノリティ文化と古代信仰の意外な共通項 「巻く」「吸う」「祓う」その行為は、儀式なのかもしれない 夜のスタジオに煙が漂う。舐達麻は言う──「俺は煙で現実を祓ってるだけだ」この言葉を、ただの中二病的表現として片付けるのは容易だ。だが一方で、…
“反ドラッグ”と“肯定ドラッグ”、二つの真実のあいだで 自由か、破滅か──矛盾する言葉に宿るリアル 「ドラッグは俺の人生を変えた。いい意味でも、悪い意味でも」この言葉は、アメリカの若手ラッパーJuice WRLDが死の数カ月前に残した一節だ…
日本の表現規制とHIPHOPの自由の狭間で 「大麻を吸って何が悪い?」これは挑発でも開き直りでもない。むしろ、彼の中では“正義”だったのかもしれない。漢 a.k.a. GAMI。日本語ラップ黎明期から最前線を走り続けてきたラッパーであり、フ…
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