転機は1999年。シリキット王妃(皇太后)が北部の山岳地帯を視察した際、伝統的に麻を織物に利用してきた少数民族が、麻を「違法な薬物」と同一視されることで苦境に陥っている現実に触れた。王妃は「文化的遺産としての麻」を守る必要性を訴え、経済作物化の方針を打ち出した。2004年には、王妃が「教育と麻栽培の推進が持続可能な未来を築く」と演説。国王陛下もこれを承認し、麻をタイの新しい経済作物と位置づける道が開かれた。翌2005年、内閣は国家経済社会開発委員会(NESDB)に麻振興策を指示。ロイヤル・プロジェクト財団や植物園機構、食品医薬品局、麻薬取締局など複数の政府機関が連携し、実験栽培や研究を開始した。