ラウンド前のCBD vs コーヒー:どちらが“ゾーン”に入れるのか?

静けさか、鋭さか。ティーオフ前の“たった一杯”が運命を変える。

「その一杯」があなたのスコアを左右する

ゴルフの朝は静かだ。まだ朝露の残るグリーン。クラブハウスで交わす軽い挨拶。そのルーティンの一部として、多くのプレーヤーが手にしてきたのがコーヒーである。目を覚まし、心拍を高め、気合いを入れるための儀式。それはもはやゴルファーの“朝の聖杯”だ。だが、今その聖杯が静かに塗り替えられようとしている。数滴の透明な液体──**CBD(カンナビジオール)**が、朝のドリップコーヒーと肩を並べる存在として急浮上している。ている。

コーヒーの「攻め」の集中力

コーヒーは、瞬発力に優れた集中をもたらす。カフェインが中枢神経を刺激することで、反応速度や注意力が一時的に向上し、プレー序盤の立ち上がりに強い集中をもたらす。プロの間でも、ショット前に濃いエスプレッソを口にする選手は多い。覚醒感、切れのあるスイング、短時間の“火力”という意味では、コーヒーは確かに効果的だ。だが一方で、カフェインの影響は持続時間が短く、心拍数を過剰に上げたり、緊張を助長したりするリスクもある。特に風の読み、微妙なライン取り、集中力が試される後半戦では、“効きすぎる集中”がミスを誘うケースもあるのだ。

CBDの「沈静型」ゾーン体験

対照的に、CBDが導くのは静けさを伴う集中状態である。 植物由来のこの成分は、THCのような精神作用はなく、身体と神経のバランスを整える働きがある。PGAツアーでも使用が認められており、バッバ・ワトソン、ビリー・ホーシェルらが積極的に取り入れている。彼らが口を揃えて語るのは、「集中しようとする必要がなくなる」感覚だ。プレッシャーのかかる場面でも、自然に呼吸が整い、頭がクリアになっていく。手が震えず、過剰な力みが消える。特にアプローチやパッティングといった繊細な場面では、CBDの“余計な思考を消す”力が大きく作用する。

“ゾーン”に近づくのはどちらか?

スポーツ心理学では、「ゾーン」とは努力で入るのではなく、自然に入り込む状態だと言われている。無意識にスイングが決まり、風の音や芝の手触りまで鮮明に感じられる。いわば“動的な瞑想状態”ともいえる。コーヒーはゾーンへの“ブースター”にはなりうるが、神経が過剰に高ぶると逆にその入り口を塞ぐ可能性もある。対してCBDは、内面のノイズを取り除き、雑念がスッと引くような導き方をする。それは、無理なくゾーンに滑り込むような感覚だ。ある選手は、「CBDを摂ってプレーしたとき、打った記憶すらないのにバーディーが続いた」と語ったという。思考せず、感覚だけでプレーしていた証拠だ。

科学的根拠はどうか?

UCLAやカナダの大学で行われた研究では、CBDを摂取した被験者はα波(リラックスと集中の中間状態)が増加し、ストレスホルモンの数値も低下していた。一方で、コーヒーはβ波を増やし、より“覚醒した戦闘モード”に脳をシフトさせる。つまり、ゴルフという静と動のバランスを求められる競技においては、CBDのほうが適した“脳波モード”を誘導する可能性があるのだ。

プレースタイルと“自分の脳”に聞け

結局のところ、「どちらが正解か」はプレーヤーのスタイルに左右される。朝から攻めて流れをつかみたいプレーヤーには、コーヒーが合うかもしれない。逆に、後半でスコアをまとめたいタイプや、緊張しやすい性格の人には、CBDが力を発揮するだろう。重要なのは、自分が“どんな集中”で最高のパフォーマンスを発揮するかを知ることだ。ゾーンとは、がむしゃらに努力して到達するものではなく、自然体の中でふと訪れるものである。その入り口を開くものが、カフェインの熱か、それともCBDの静けさか──。あなたのティーオフ前の選択が、その日のすべてを変えるかもしれない。