彼は言う。「俺たちは常に“スコア”を気にしてる。再生数、登録者数、月収、いいね数……でも、本当に大事なのは“今の一打”だけなんだよね」スコアカードに一喜一憂するほど、集中は散る。目の前のショットに全意識を注ぐ。その瞬間の無心こそが、仏教でいう“定(じょう)”の状態だ。「音楽でもラウンドでも、“今”に入った瞬間って、時間が止まる感じがある。それって坐禅の“止観”に近いよね。打つときは呼吸しか意識してない」ゴルフは、外から見ればただの球打ちだ。しかし内側で起きているのは、自我と欲望と失敗との対話である。そして、それを何度もやり直すことでしか得られない、静かな理解がある。