医療大麻──この言葉に対して、拒絶するわけでもないが、積極的に関わろうともしない。いまの日本で最も多いのは、こうした“無関心”の層かもしれない。だが、その無関心が、制度の変化を妨げ、必要な人の選択肢を奪っているとしたらどうだろうか。医療大麻は、いまや世界中で特定の疾患に対する治療オプションとして認められつつある。米国では難治性てんかんに対するCBD製剤「エピディオレックス」が正式に承認され、イギリスやイスラエルでも医師の裁量で処方が可能だ。実際、てんかんの発作を劇的に減らし、夜眠れなかった子どもが普通の生活を取り戻したという事例は数多く報告されている。しかし日本では、いまだに制度上の空白が大きく、「処方できない」「研究が進まない」「議論すら避けられる」という閉鎖的な状態が続いている。その最大の要因は、反対派よりもむしろ、「興味がない」「触れたくない」といった無関心である。