子ども用CBD、効果あるの?副作用は? Daughter Sticking Out Tongue To Mother Can Drop CBD Oil Drops on It. ――科学が示す「一滴の可能性」と、見過ごされてきた制度の盲点 “大麻”という言葉に潜む誤解 「CBD(カンナビジオール)って、子どもに使って大丈夫なんですか?」そう問われたとき、医師でも即答に困ることがある。“CBD=大麻”というイメージが、未だに日本社会には根強く残っているからだ。だが実際には、CBDは精神作用を持つTHC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なる成分であり、医療現場では極めて穏やかな作用を持つ“神経調整物質”として注目されている。そしていま、その可能性は「子ども」にまで及んでいる。 小児てんかんにおける「CBD治療」の科学的エビデンス 米FDAが承認した小児CBD薬「Epidiolex」 2018年、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、難治性小児てんかん(ドラベ症候群/レノックス・ガストー症候群)に対してCBD製剤「Epidiolex」の使用を正式に承認。これは大麻由来医薬品としては米国史上初の快挙であった。承認の根拠となったのは以下の臨床試験: ドラベ症候群(平均年齢9歳)への試験では、CBD投与群で発作回数が39%減少 **レノックス・ガストー症候群(4歳以上)**でも、有意な発作頻度の減少を確認 多くの被験者が睡眠・食欲・行動面での改善を報告 これにより、英国・EU・イスラエルなどでも医療用CBDの小児適応が拡大されていった。 WHOも評価:「乱用や依存のリスクは見られない」 2017年、WHO(世界保健機関)はCBDに関する包括的な評価報告書を発表し、以下のように明言している。 “CBDはヒトに対して依存性や乱用の兆候を示さず、一般的に良好な忍容性を有する。てんかんを含む複数の疾患に対して、治療上の可能性を示している。” この報告を受け、WHOはCBDを**「国際的な規制薬物から除外すべき」**と提言。2020年には国連麻薬委員会がその勧告を採択し、CBD製剤は国際条約上の規制対象から事実上外された。 日本では“未承認薬”、なぜここまで遅れているのか? CBD自体は日本国内で合法(THC非含有に限る)だが、医薬品としては未承認のまま。Epidiolexのような承認済み医薬品の輸入・処方は、特別承認制度を用いない限り不可能であり、現場の医師がリスクを負うことになる。一方、保護者による個人輸入もTHC混入の可能性から法的リスクを伴い、2020年代には実際にCBD輸入で逮捕された親たちの事例も報告されている。この構造的ギャップは、日本が医療政策と規制制度において**“リスク回避が倫理を凌駕している”状態**であることを象徴している。 「あなたの隣の子どもに、選択肢はあるか?」 医療とは、命を守る手段である。そして科学とは、常に“次の選択肢”を提供するものだ。世界が科学的エビデンスと倫理的対話を重ねながら**「CBDは子どもにとっても有効な選択肢たり得る」と判断している中で、**日本だけが“議論のテーブル”にすら立っていないとしたら──それは、制度の遅れではなく、社会の想像力の貧困かもしれない。