七夕の織姫は、天の川の向こうで機(はた)を織る神の娘とされる。その織物は、ただの布ではない。
「霊布(たまぬの)」──神との通信回線、あるいは宇宙との共鳴装置として位置づけられていた。
この“霊布”に使われた素材の一つが、麻だった。
細くしなやかで、かつ強靭な麻の繊維は、**「魂を包む布」「波動を通す糸」**として、織姫の物語に通じる役割を担っていた。
奈良時代の宮中行事「乞巧奠(きこうでん)」でも、女性たちが麻布を織って、星に技芸の上達を祈ったという記録が残っている。
つまり、織姫信仰とは「天とつながる技術=波動芸術」の象徴であり、麻はその回線を織り上げる媒介だったのだ。