「これは科学ではない。だが、神話でも終わらない。」
中山康直が語る世界は、現代科学と古代神話のあいだを自由に行き来する。その語りは、ときにスピリチュアルで、ときに批評的で、そしてどこか壮大な宇宙叙事詩を彷彿とさせる。彼が唱えるのは「地球神話(ガイア・ミソロジー)」──神話という言語で現実の変化を読み解く知の方法論である。
そしてその神話の中心には、「ポールシフト」「フォース」「銀河連盟」など、SFのようでありながら、地球の本質に迫るキーワードがちりばめられている。
ポールシフト──地軸の揺らぎと人類意識の転換
中山康直が早くから警鐘を鳴らしていたのが、「ポールシフト(地軸の移動)」の問題である。これはフィクションではなく、NASAや地球物理学の分野でも近年その兆候が報告されている。実際、グリーンランドや南極の氷が溶け、大量の水が地球の質量バランスを崩しつつあるという。
彼はこれを単なる地質変動としてではなく、「文明の精神的転換」として捉える。地軸の揺らぎは、私たちの内的コンパス、すなわち“価値観”や“世界観”の大転換を促す合図なのだと。
「物理的な地軸のズレは、精神的な“軸”のズレでもある。」
それは「何を正義とするか」「何を信じるか」「何と共鳴するか」といった、生き方そのものの問い直しにつながる。
フォースとは“気”の本質である
中山氏の語りで特徴的なのが、『スター・ウォーズ』を神話として読み解く姿勢だ。彼はこのSF映画に、地球人類の集合的無意識が投影されていると見る。
中でも「フォース」という概念は、東洋思想でいう「気(き)」そのものであり、人間の内側と宇宙全体をつなぐ“生命の振動”を象徴している。
「“May the Force be with you”は、“気とともにあれ”という縄文的祈りだ。」
彼は聖徳太子や空海、あるいは神道の神職たちが“フォースの使い手”であったとまで語る。つまり、日本の古代にはすでに“銀河レベル”の霊性が存在していたというのだ。
銀河連盟と宇宙文明の記憶
にわかには信じがたいが、中山氏は“地球外文明”の存在も否定しない。むしろ、「地球は宇宙的なプロジェクトの一部である」と断言する。その背後にあるのが「銀河連盟」──これは彼の造語ではなく、チャネリングやUFO研究の世界で知られる言葉である。
彼によれば、銀河連盟とは“進化した知的生命体の集合体”であり、地球の意識進化をサポートしている存在。中山氏はこれを「比喩としての宇宙政府」として語ることもあれば、「記憶の奥底に眠る現実」として扱うこともある。
興味深いのは、彼がこれを“外部の存在”ではなく、「自分の中にある銀河的知性」として見ている点である。
神話的リアリティで世界を再解釈する
中山康直の思想の面白さは、現代を“神話”として読み直す発想にある。彼にとって神話とは、過去の幻想ではなく「未来に通じるリアリティ」だ。
ポールシフト、フォース、銀河連盟──これらは単なるオカルト用語ではない。むしろ、現代科学や政治、経済の文脈では捉えきれない“もうひとつの真実”を表現する象徴的言語なのである。
「この地球の表層を走る“現実”の下には、もっと深いレイヤーの“神話”が流れている。」
その神話に耳を澄ませることで、私たちは「なぜ今、この時代に生まれてきたのか?」という魂の問いに直面することになる。
結び──次の神話を生きる
中山康直は、現代を「神話なき時代」と捉えている。過去の神話は忘れ去られ、科学は魂を救えず、人々は“物語”の喪失によって迷っている。だからこそ、彼は新しい“地球神話”を紡ごうとする。
それは、過去と未来をつなぎ、物質と精神を統合し、人類と宇宙を再び結び直す物語だ。
「この世界は、すでに“神話のステージ”に入っている。あとは、あなたがその役割を思い出すだけ。」
ポールシフトの時代に、私たちが手にすべきコンパスは、科学か? 金か? それとも、神話か?
中山康直が問いかけているのは、まさにその“軸”の選び直しなのである。